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JAFの趣味なページ

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現代空対空戦


F-15C
F-15C戦闘機 アメリカ空軍公式サイトより転載


今ちょっとゲーム屋に脚を伸ばせば、「エースコンバット」とか「エアロダンシング」とかいろんな戦闘機ゲームが置いてあります。もちろん私はこの手のゲームは大好きで、ドッグファイトの末敵を撃墜した時の爽快感は筆舌に尽くせません。

が、ドッグファイトというのは、今日ではほぼ起こり得ません。残念ながら相手の背後をとりあう戦闘方法は過去のもので、ゲームの世界でのみ生きるものとなっています。

実際に湾岸戦争やイラク戦争でもドッグファイトは起こらず、ほとんどは中距離対空ミサイルを使った目視外戦闘、つまりまだ目に見えないほど遠くにいるうちに攻撃を行うのが主流です。短距離対空ミサイルAIM-9(サイドワインダー)を使うような状況でもドッグファイトまではなっていません。

60年代から70年代くらいに「ミサイル万能論」という思想がありました。
「これからはミサイルの時代だ。もう機関銃なんて飛行機には必要ない。戦闘機なんてミサイルを運ぶためだけにあるようなものだ」という考え方です。
ところがベトナム戦争で、大いに期待が寄せられていた中距離空対空ミサイル「スパロー」が散々な結果に終わりました。なんと半分のスパローがまともに動かず、あたったのは10分の1くらいだったといいます。

ところがそれから20年が流れた1991年の湾岸戦争、ミサイルの性能と信頼性は劇的に向上しました。現在アメリカ軍の中距離空対空ミサイルはAIM-120「アムラーム」へと発展し、その命中率の高さに「スラマー(必殺野郎)」というあだ名までついたくらいです。
必中距離と呼ばれる距離まで接近して発射したものは、現在でも100%に近い命中率を誇るまさに「一撃必殺」といえるものです。「真のミサイル万能時代」がやってきたとも言われています。

そのため機動性なんてものはほとんど役に立たないものとなってしまっています。なので極端に言ってしまえば、戦闘機はF/A-22などのステルス戦闘機を除けばどれも同じようなものとなっているのです。
実際にはそれぞれの機種でレーダーや情報処理などのアビオニクス類の違いなどがありますので一概にはそうは言えないものの、その傾向があるのは確かなのです。

具体的に現代空対空戦闘がどんなものであるか、アメリカ軍を一例にしますと、

1、後方にいるE-3AWACSが敵を遠距離で探知、これを前線の戦闘機にデータリンクで知らせる。

2、戦闘機のレーダーは自分の前方しか捉える事ができないので、米軍戦闘機は見つからないように回り込む。

3、敵に見つからない位置から自分のレーダーを相手に照射してレーダー誘導ミサイルをロックオン、発射。

このような感じで戦闘が進みます。この後レーダー誘導ミサイルが外れれば撤退することもありますし、必要があれば赤外線誘導ミサイルの射程まで接近して近距離戦闘をしかけます。

このような戦闘で最も大切なことは何か、それは

敵より早く相手を見つけること

これに限ります。
実はこれ第二次世界大戦の頃から何も変わっていないのです。機関銃が主武装だった第二次世界大戦でさえ敵より早く見つければ勝っていたのです。ドッグファイトになりやすかったのは確かですが、それよりもこれです。奇襲を受ければ機動性も旋回性能も関係ありませんから。


因みにアメリカのステルス戦闘機「F/A-22」のキャッチコピーに次のような一節があります。

ファーストルック・ファーストキル

まさに現代空対空戦闘を端的に表した一文といえます。


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